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スタッフ日記
12月2日の抄読会
12月2日の抄読会は小野寺先生の当番で、Clinical Illness and Outcomes in Patients with Ebola in Sierra Leone. N Engl J Med 2014; 371:2092-2100 でした。シエラレオネで収集されたエボラ出血熱の臨床像データを発表したものです。主症状は発熱と頭痛(出血は実はあまりいない)、死亡と関連するのは年齢(高齢者ほど致死率が高い)、ウイルス量、下痢→脱水による腎不全•肝不全のようです。有効な治療は大量輸液ということになるでしょうか。デング熱、エボラ出血熱、もうちょっと身近なところではHIVや結核…およそ教科書の中の出来事だった感染症がじわじわと迫ってきているようです。
2014/12/6
NST講演会
11月13日の抄読会
11月13日の抄読会は荒木先生の当番で、Pediatric skull fractures: The need for surgical intervention, characteristics, complications, and outcomes. J. Neurosurg Pediatrics 14:205-211, 2014でした。 著者の所属はピッツバーグ大学脳外科で、5年間でLevel I 小児外傷センター救急部を受診、頭蓋骨骨折を認めた897例について、受賞機転、骨折の程度・所見、手術の必要性有無や治療後の転機をretrospectiveに解析しています。比較対象研究ではないので淡々と事実を述べている、シンプルな論文です。イギリス帰りの田中先生が気がついたのは、対象の白人の割合が多いこと。大学病院の小児外傷センターなぞを受診する人はそれなりにお金持ってる人たちですかねえ、という感想でした。病院に行くか行かないか、病院前バイアスもあるかもしれません。
2014/11/17
第1回総合診療科・消化器肝臓内科合同カンファレンス
本日、総合診療科、消化器肝臓内科、消化器外科、放射線科の合同症例検討会でした。初めてのイベントであるにもかかわらずたくさんの参加がありました。ディスカッションがとても盛り上がりましたよ。以下ご報告。
消化器内科 開腹歴のない小腸イレウス
造影CTで絞扼性イレウスは否定的だったので保存的加療していましたが、憩室近傍の腸管狭窄が狭窄しており、結局腸管切除になった患者さん。
ディスカッションの肝は、救急外来に来た患者のレントゲンでイレウスを疑ったら、クレアチニンが出るのを待っていきなり造影CTするか、それともまず単純CTで評価するか。
イレウス見たときは、絞扼性イレウスとの鑑別が大切ですが、症状が強くて早く鑑別をしたいときは、まず単純でいいでしょう、という放射線科ドクターのご意見。外科の先生からは、画像だけに目を奪われず、まず患者さんをよく観察して鼠径ヘルニアの嵌頓を見逃さないように、とアドバイス。
造影するときは、単純+造影2相+冠状断が推奨されます。絞扼性イレウスのステージ分類I〜Vと、それぞれのステージにおける造影CTの所見を示してくれて、とても勉強になりました。
総合診療科 急性発症だけど腹部症状があまり強くない上腸間膜動脈解離
急性発症の腹痛で救急車で来院した男性、診察所見、レントゲン、血液検査ではあまりぱっとした所見なく、症状も徐々に改善(しかしゼロにはならない)。胃か十二指腸潰瘍か?という印象。単純CTで放射線科ドクターがSMAがちょっと太めで周囲のわずかな脂肪織濃度上昇を見逃さなかったので、 引き続き造影CTを行い診断がつきました。もちろん造影CTをやれば一発診断ですが、症状が良くなってしまった、臓器障害のない腹痛でいきなり造影CTにはいけません。しかし単純CTであの細いSMAの解離を読むのは素人では無理です。私たちができることとしては、sudden onsetは動脈疾患(解離、血栓)を疑うことです。
2014/10/21
10月16日の抄読会
Socioeconomic Status Inconsistency and Risk of Stroke Among Japanese Middle-Aged Women. Kaori Honjo, PhD et al. for the JPHC Study Group. STROKEAHA.114.005238, Published online before print July 15, 2014,
2014年10月16日抄読会の詠み人は田中でした。今回の抄読会の論文は、日本の社会不平等(社会階層・社会経済的地位)と健康についてどの程度日本では研究されているのかをレビューしているときにヒットした記事をもとに選択しました。
担当するにあたっての目的としては、日本では、特に臨床の現場ではまだ社会的不平等についての存在が充分でないと感じたので、それを共有することでした。また、研修医の先生もおられるので、STROBEのガイドラインを参考にしながらのコホート研究論文のポイントを抑えるのも第2の目的でもありました。
この論文の結果は、高学歴なのに低所得・単純労働についている日本人女性で脳血管障害のリスクが上がるというものです。現在、日本ではニートに代表される、高学歴なのに職がない若者も増えており、日本でもこのような研究、また一歩進めてこの影響が生体に与えるバイオロジカル的メカニズムの分析など今後必要になってくると感じました。
2014/10/20